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いないいないばあ!と、月が笑う朝光は空間を押し広げてゆく 信号機たちは軽快なステップを踏み 高架下の鳩は人を見定める 改札で奏でる電子音楽は時を区切り 私たちは真空の世界へと吸い込まれていく 吸い込まれてゆく道すがら 出来立てホヤホヤの空間の中を息を殺しながら旋回する飛行機をみて あ…

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どこにある世界だろう 迷い込んだ空間には空から垂れた糸にぶら下がる箒が生暖かい風に優しく吹かれゆらゆら揺れている 子供たちが、まえにならえ をしたようにたくさんの箒が空間一面に整然と並んでいる 私は箒の柄からのびる糸に触れずんと空に向かって届く限り指を這わせてみたけれどそれはとてもとても無感情な糸で、だからゆらゆら揺れてい…

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開かない扉の前で立っている、私 開くのを待っているのではなく今は、その扉はどのような扉なのかを眺めたりしている、私 重たそうな、扉 雑な彫り物が施されていて触ってみると小さなささくれが指をシクシクさせる 余程へたっぴな人なんだな、とは思うけど不快には感じない多分、そのへたっぴさんには本物の心があるから 私の背ほ…

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