齧る

干し梅みたいになっとるなあと思うわたしのこころ ちょっと硬くなった果肉ちびちび齧りながら夜の音聞いてる こころなんてなくなってしまえばいいのにと思うんだけどわたしがわたしであるのって、このこころがあるからなんだろうしなくなってしまったらそれはわたしではなくなる、ということなんだよと たとえわたしがなくなってしまっても世界は回る…

続きを読むread more

ぱらぱらと

白いバラ空一面覆う日に人々はアゲハ蝶の羽の上で憩う 夕日の色透け始めた花びらがとうとう朽ちて散る時にアゲハ蝶は飛び立つので人はぱらぱらと落ちていく それはまるで儚く消えゆく彗星のよう

続きを読むread more

ただそれくらい

私は群生する水苔に埋もれるようにしとっ、と座っている砂時計の砂が落ちる音が聞こえるくらい静かなのは、それを水苔が望んでいるから 時間とは、白く粘度の高い液体 美しい年輪の模様をした丸い玉が時折、空から落ちてくる 液体はタポル、と音をたてて落ちてきた丸い玉を受け止めとても気怠そうにミルク冠を作る 玉は沈んでいくんだろう…

続きを読むread more