117 どこから空を


泥水に体を浮かべて
悠々と飛ぶ飛行機を眺めている人がいる。

頭の中は自由、と呼ぶほどには自由ではない。
そういう意味で自由なのだ。


体は泥水に
頭は青空に。
人は空想する。

さて、
私は飛行機かもしれない。
大空を駆け巡る自分がいる。

あそこにいるのは、私
から
ここにいるのは、私、へ。
ここが、私の起点。
コロイド状の脳みそは、
そのような空想の力を借り
澄んでいくのだ。


でも、
ある時得た
生身の体の感覚が
飛行機を人の体めがけて墜落させ、
気づけば再び泥水の中。


清々しい大空を
どこから見るのか
そんなことさほど重要ではないのだけど。

そのような様子が
いつも思い浮かぶ。


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