2200

C2380FBD-3932-4AD2-908A-07351968EEF6.jpeg
どこにある世界だろう


迷い込んだ空間には
空から垂れた糸にぶら下がる箒が
生暖かい風に優しく吹かれ
ゆらゆら揺れている

子供たちが、まえにならえ をしたように
たくさんの箒が
空間一面に整然と並んでいる

私は
箒の柄からのびる糸に触れ
ずんと空に向かって
届く限り指を這わせてみたけれど
それはとてもとても無感情な糸で、
だから
ゆらゆら揺れている箒たちは
切ない存在としてあるしかないようだ


この、迷い込んだ空間にいると、
心地よいのだ

この場所では、

私以外に誰もいない

と言い切ることができるから




行くべき場所
いるべき場所、となる間

目の前にいる私を
置いてけぼりにしそうで怖いので、

私は目を逸らさず一所懸命に
私の目を見続けているんだ。


この記事へのコメント