部屋① 今の感情を例えるならこんな感じ 

ぬるく薄い光が差し込むこの部屋

何本もの弦が張られている

爪弾けば楽器と見紛う音を鳴らすその弦は

不健康な心を持つ者にとっては

体の動きを制限する不都合な代物


私はなんとか

その弦に触れないように

くぐったりまたごしたりする

場所によっては非常に複雑な体位をとらなければならない

そんなことを毎日毎日繰り返すうちに

私は弦を避け膝を抱え込んで座った


もう疲れたから



そう

部屋中の弦を切ってしまおう

部屋中を張り巡らしている弦全て

 

私は一心不乱に切る

切断する瞬間に弦に生じる「安定」からの反動

その跳ねっかえりは私を傷つけていく

(全て切り尽くされた時

私は生きているのだろうか?)



床に散らばった弦は皆

どこからか聞こえる遊ぶ子供らの声と手を繋いで

窓の外へ

風に乗って駆け出していった


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