ぱらぱらと

白いバラ空一面覆う日に人々はアゲハ蝶の羽の上で憩う 夕日の色透け始めた花びらがとうとう朽ちて散る時にアゲハ蝶は飛び立つので人はぱらぱらと落ちていく それはまるで儚く消えゆく彗星のよう

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ただそれくらい

私は群生する水苔に埋もれるようにしとっ、と座っている砂時計の砂が落ちる音が聞こえるくらい静かなのは、それを水苔が望んでいるから 時間とは、白く粘度の高い液体 美しい年輪の模様をした丸い玉が時折、空から落ちてくる 液体はタポル、と音をたてて落ちてきた丸い玉を受け止めとても気怠そうにミルク冠を作る 玉は沈んでいくんだろう…

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今、光の中で歌う人のもとに、30年前のその人が追いついて重なった 今、歌う人の横顔は30年前のその人となる。 けれど、50年前のその人はまだずっと向こうにいて、今、光の中で歌う人の元にまでまだ追いつけてさえいない。 そう感じた瞬間私の心臓は空気の振動に絡め取られ身動きができなくなり、ぼう然と立っているだけ。 もう、こ…

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